大願成就 己に勝つ野球 14

倉敷工 猛打で夏切符

第85回全国高校野球選手権岡山大会は、倉敷マスカット球場で決勝が行われ倉敷工が、倉敷高校を降し7年ぶり9回目の夏の甲子園出場を決めた。雨が降りしきる中、両チームとも点を奪い合う熱戦を展開。倉敷工は、前半リードを奪われたが、六回に死力の集中打で一挙7点を挙げ逆転し逃げ切った。

第85回全国高校野球選手権岡山大会
決勝戦
倉敷工002 017 000 10
倉 敷120 200 011 7

倉敷工が、六回一挙7点を奪い逆転した。相手守備の乱れを突き、4安打を効果的に連ね、打者12人を繰り出す猛攻。
追いすがれば、突き放される嫌な展開。加えて強い雨。
「こんなはずじゃない。まずいなあ。」倉工ナインの胸中に焦りと、マイナス思考が増幅しているように見えた。2点を追う六回の攻撃の前、危機を感じ取った和泉監督は、ナインをベンチ奥に集めた。そして「目を閉じろ」と指示。
「倉敷の選手を見てごらん。気持ちよくバットを振ってるよ。」
そして、「信じろ。最後に勝つのは絶対に、君らだ。」
指揮官の叫びにナインはプラス思考を取り戻す。凄まじい気迫で打席に入ると、相手守備が乱れ始める。2四死球と、3適失でまず同点。そして、萩原の2点適時打を口火に、4安打を叩みかけ、7点をもぎった。先発全員安打は、公式戦初めて。
シード校が次々と敗れた『戦国岡山大会』純白とエンジ色の伝統のユニホームは最後まで生き残った。

7年の時を超え、古豪が夢舞台に立つ。そこには、3塁側倉工大応援団の姿があった。「レッツゴー陶山ダンダダダン」「レッツゴー陶山ダンダダダン」大応援団は、全員総立ちでエースを見つめた。倉工が、いや倉敷が涙した平成15年の夏。
そして抱き合った。そして涙して笑った。当HPは、この熱戦を次の【大願成就15号】でも再度振り返ってみる事にしたい。

つづく
随時掲載

お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして、一部を引用しています)

協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」