大願成就 己に勝つ野球 21

第85回全国高校野球選手権大会 於阪神甲子園球場
7年ぶり9回目の出場倉敷工業高校
大会2日目第2試合

倉敷工(岡山)VS駒大苫小牧(南北海道)

倉 敷 工0000
駒大苫小牧0710

大雨が西日本を襲った。岡山から駆け付ける予定の応援バスの大部分が大雨で試合開始に間に合わないアクシデントで幕開け。空席が目立つ3塁側倉工応援アルプス席。中山隆幸部長に、高野連から厳しい指摘が飛んだ。「倉敷工業の、応援団はどうなってるんですか。まだ、来てないじゃあないですか。」と。中山部長は、「すみません」と頭を下げるしかなかった。大雨で高速道路が止まって立ち往生しているためだった。部長というものは、応援団も兼ねる総責任者なのである。
「ブラスバンドも太鼓も間に合わないので、遅れてくる人の分まで応援しなければ。」と、哲西町からの応援団約30人。

倉敷工業高校から一斉に出発した応援バスであったが、高速道路を途中で下り、それぞれの運転手の判断で地道で甲子園に向かっていた。やっと到着した数台のバスは甲子園入口に横付けし、応援団が川のように雨水が流れる階段をアルプス席まで駆け上がった瞬間、倉敷工対駒大苫小牧の試合は、四回途中でノーゲームになった。

東條主審が、「台風接近という情報があり、ゲームの成立の見込みがないと判断した。」と説明。脇村高野連会長は、「天気予報が午後2時頃までもつと言うので第2試合まではできると思ったが、予想に反して雨が降った。」と残念がったのだった。

無情の雨に消え行く勝利。
グランドは、田んぼ状態。倉工応援アルプス席は、滝のように流れる雨水。倉敷工エース陶山大介は、うなだれた。「自分の投球ができず、みんなに申し訳ない。」制球が定まらず本調子には程遠かった。
二回、四死球絡みで走者をため、連打、連打で、一挙7失点。高めに浮いた球を狙い打ちされ投球も単調に。もはや、挽回不可能な状態。序盤から大差を付けられる展開だったが、四回裏途中からさらに雨が強まり、二死一、三塁で中断。そのままノーゲームが決まった。ベンチに引き上げた倉工ナインは、雨でびっしょり。二塁手の、2番大森伸哉は、「やり直せるのはラッキー。神様が味方してくれた。」と素直に喜んだ。エース右腕は、「明日こそは。という気持ちです。ボール球を振らせる投球をしたい。」右腕は、いや、倉工ナインは、雪辱を誓った。

つづく
随時掲載

お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして、一部を引用しています)

協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」