大願成就 己に勝つ野球 22

第85回全国高校野球選手権大会 大会2日目 第2試合
7年ぶり9回目の純白のユニホームを甲子園に見せた倉敷工。
倉敷工は、駒大苫小牧(南北海道)との一回戦に臨んだが、四回途中で降雨ノーゲームとなった。大差で負けていた倉敷工にとって、もう一度チャンスが与えられる天の恵みになった。

倉 敷 工 000 0
駒大苫小牧 071 0×

この点差で仕切り直しとなり、相手チームのことを考えると倉工ナインには複雑な思いが残るだろう。だが、ここは甲子園。
岡山県の代表校として、気持ちを切り替え勝負に徹してほしい。

この日の夜のミーティングの時だった。和泉利典監督は、選手全員にレポートを書かせた。「力を発揮できなかった原因」、「明日への心を整備」などを中心とした内容だった。
そのミーティングは、5時間以上にも及んだという。
捕手の萩原竜一は宿舎でこの試合のビデオを見ると、自分の構えやミットが真ん中に入り、陶山に投げにくくさせていたことに気がついた。「次は、どんどん内角に攻めるぞ。」萩原は反省を踏まえ、強気の内角攻めを誓った。「将来は、指導者として野球の素晴らしさを教えたい。」と熱く語る。
「弱気は最大の敵。敵は相手ではなく、自分自身にある。」
伝えたい経験が、また一つ増えた。

この試合で、一本の安打を記録した松本勝志は、「ノーゲームになって正直助かった。もう一度試合ができるチャンスを与えられたのだから、次はできることを一生懸命やりたい。」

田中勇気は、「これからと意気込んでいたので気持ちをくじかれた気もするが、堅実に得点する野球を取り戻したい。」と話した。

倉工ナインは、雪辱に燃えたのだった。

つづく
随時掲載

お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の新聞記事を参考にして、一部を引用しています。)

協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」