熱闘甲子園 今昔物語 60 栄光の足跡 48

第81回選抜高校野球大会
【概要】
2009年3月21日~4月2日(平成21年)
入場曲「キセキ」
幕試合 倉敷工11―10金光大阪
二回戦 中京大中京6―5倉敷工

【まとめ3】
『脅威の追撃あと一歩』
『序盤の失点最後まで遠く』
中京大中京 230 100 000 6
倉敷工   010 004 000 5

序盤は、完全な中京ペース。エース山崎は、二回までに4四死球を与え、早々と5点を失う。しかし、二回、8番内山の、内野強襲安打で、何とか1点を返す。山崎は尻上がりに、調子を上げて行き、相手の追加点を1点だけに抑え、味方の奮起を待った。
打線が応えたのは六回。2番井上の、内野安打。
4番三木。6番山形らの、二塁打などで、4点を返す。
2戦連続での、大逆転の予感に、沸き立つ甲子園。
が、最後は一歩及ばなかった。

『冬の猛練習超美技で息を吹き返す』
何度も何度も這い上がる倉敷工。「粘りの倉工」が、またまた出現した。五回の守り。二死一三塁。マウンドに伝令の内田が駆け寄った。「内角で、ゴロを打たせろ。」内野陣は、ハッとした。「守りで、リズムを作る、倉工野球を思い出せ。」中山監督の激に、聞こえたナイン。「オレたちが守る。」口々に言い残して守備位置に散った。打席には、中京1番山中。4球目。
山崎の投じた直球は内角へ。しかし、乾いた打球音。
土煙を上げて、センター方向へ。抜けたー、かに見えた。
すると、二塁手の三木が、横っ飛び。「バシ。」
グラブに収めた。トスを受けた、遊撃手三村がベースを踏みチェンジ。
「ウオー。」静まり返っていた、倉工一塁側アルプス席が、息を吹き返した。

昨秋の公式戦15失策。練習時間の多くを、守備に割いた冬の練習成果が、凝縮された超美技だった。

『夏に帰って来いよ』
失策は、初戦一つ。この日は二つ。
甲子園の魔物に愛された倉工ナインは、口を揃えた。
守備をもう一度鍛え直す。」
勝者よりも、敗者に大きな拍手が、語りかけていた。
「夏に帰って来いよ。」と。

2回裏。倉工2死一二塁。 内山が、一塁強襲の適時打を放つ。

6回裏。倉工1死二塁。 山崎が、左翼線適時打を放つ。

力投する、倉工エース山崎。

9回。逆転を信じて大きな声援を送る、倉工応援団。

6回裏。倉工無死一二塁。 三木の、遊撃強襲二塁打で、井上が生還。

中京大中京に惜敗し、甲子園の土を持ち帰る、倉工ナイン。

つづく
随時掲載

お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参考
朝日新聞「バーチャル高校野球」
山陽新聞「灼熱の記憶」
(注)現在、「灼熱の記憶」は、ありません。
瀬戸内海放送「夢フィールド」
(注)現在、「夢フィールド」の放送は、ありません

協力
和泉利典(元、倉敷工業高校野球部監督)
中山隆幸(元、倉敷工業高校野球部部長監督)
岡山県立倉敷工業高等学校硬式野球部OB会
岡山県立倉敷工業高等学校おいまつ会