監督 小沢 馨物語
第31回全国高校野球選手権大会 準々決勝
三年連続優勝を目指した 小倉北。「 キープ マイ ペース 」を唱えながら
終始冷静な、投球を続けた エース小沢 の過酷なマウンド。その小沢を援護
した、 捕手藤沢 新六 の2本の左中間への、大ホームラン。無欲であるが
ゆえ、 小沢 は詫びた。無欲であったがゆえ、倉工は勝ったのである。
迎えた準決勝。相手は、2年連続2回め出場の 岐阜。1対3とリードされた
四回、1点を返し、さらに無死満塁のところで、突然の雨。翌日再試合となった。
宿舎に帰った倉工ナインは、風呂の中で『 これなら勝てる。優勝できるかも 』
と、はしゃぎ立てた。欲が出た。無欲から 欲 にかわった。再試合では、強振
を続ける打線は空回り。頼みの エース小沢 は、連投の疲れで、ひじが
上がらない。球は走らず、 2 対 5 で敗れた。敗戦を決めた無情の雨。
【 あの時さえなかったら。今でも、雨の日には想い出す。 】と、小沢は言う。
準決勝 岐阜 3 - 2 倉敷工 ( 四回降雨ノーゲーム )
岐阜 5 - 2 倉敷工
昭和24年8月20日。倉敷駅前広場。
初出場で、ベスト4。感激を味わったのは、倉工ナインよりも、倉敷市民だった。
倉敷駅前広場に、集まった大群衆は、駅前だけでなく、沿道にも人があふれ
人々は、「 万歳! ばんざい! 」の連呼。空には、打ち上げ花火が上がり
ブラスバンドの演奏までが、加わった。急こしらえのステージに、立った倉工ナイン。
そして、主将の 小沢 が、挨拶をする事になった。
つづく 随時掲載
お願い 本文に迫力を持たせたく、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい
参 考 瀬戸内海放送 「 夢 フィールド 」
OHK 「 旋風よ ふたたび 」
山陽新聞社 「 灼熱の記憶 」