五万観衆の歓声がとどろく。センターポールに緑の校旗がはためく。
折しも、沸き起こる校歌の吹奏。「水島灘の沖行く白帆も~」
大甲子園にこだまする勝利の賛歌。聞く度に、いいなあと思う。
(おいまつ会会員名簿より引用)
第85回全国高校野球選手権記念大会第9日目、二回戦春の四国大会優勝の強豪今治西と対戦した倉敷工は、再三のピンチを耐えながらチャンスでは見事な集中打を見せ4対3で逆転勝ちした。
倉敷工000 301 000 4
今治西001 101 000 3
1点を先制された四回表。倉敷工はビックイニングを迎える。
松本の安打。渡部の四球で一死一二塁とする。続く須田は一回戦に続き中前打。相手野手の失策もあり2者が帰り勝ち越し。清水も中前打で3点目。また、競り合いの展開では、アウトカウントを増やしても走者を先の塁に進めた方が効果的な時もある。その倉敷工の決勝点は、六回。
一死から、左前打で出た一塁走者を、バントで送った。
「併殺が頭をよぎったので、バントで得点圏に走者を進め、相手にプレッシャーをかけたかった。」と和泉利典監督。ここで萩原が、走者が二塁に進んだ事で浅めに守っていたセンターの頭上を抜く適時二塁打を放つ。倉敷工は、駒大苫小牧との一回戦でも、二回一死一塁から送りバントで走者を進め、先制適時打につなげた。
和泉監督は、「一死一塁からのバントは、うちにとっては通常のプレー」と話した。
そのランナー二塁のこだわりが、難敵今治西を倒したのである。
新聞に、『倉敷工粘った守った』『倉工鮮やか逆転』『倉敷工今治西に競り勝つ』等と出た。
三塁側倉工応援アルプススタンドでは、倉敷工倉敷南高松農の3校が合同で演奏した。倉敷工吹奏楽部柚木律子顧問が、97年に倉工に赴任した時、倉敷南顧問と「もし、甲子園に出たら合同で演奏しよう。」と約束を交わしていた。また、日頃から交流のある高松農も加わり合計約90人の部員が演奏を繰り広げたのである。
柚木顧問は、「7年越しの約束が実りました。」と満足そうに部員の演奏を指揮したのだった。
つづく
随時掲載
お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。
参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の新聞記事を参考にして、一部を引用しています。)
協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」