第78回全国高校野球選手権大会(平成8年夏)
【概要】
1996年8月8日~8月21日出場49チーム
優勝 松山商(愛媛) 準優勝 熊本工(熊本)
松山商が、熊本工を決勝で破り、27年ぶり5度めの優勝を果たした。
決勝を印象深くしたのは、10回表、松山商の右翼手矢野の好返球だった。
9回に同点にされた松山商は、10回も、一死満塁の大ピンチ。熊本工本多の打球は守備固めで入ったばかりの、矢野への大飛球。
タッチアップで、サヨナラと思いきや、矢野が80mをノーバウンドで返球。本塁で、タッチアウトにする。
11回、松山商は、矢野の二塁打の足掛りから、星加のスクイズで、勝ち超した。
【はじめに】
岡山県大会決勝は、第1(城東)、第2(倉敷工)シードが激突する。
春の県大会決勝で、7対5。8校選抜で、9対8と、いずれも岡山城東が制している。岡山城東は、4試合で45点。1番山上からの打線には、切れ目がない。大会のチーム打率は4割2分4厘。一方、倉敷工は、エース中原が、3試合を完投し、防御率1.00。1番北条、2番西川が、出塁し、足を絡め福原、藤原らの長打で、一気に畳み掛ける。
【あの感動ふたたび】
倉敷工10年ぶり夏つかむ延長12回熱闘打ち勝つセンバツ4強の城東下す。(山陽新聞H8、7,30)
倉敷工 100 030 200 002 8
城 東 011 103 000 000 6(延長12回)
4番福原の執念の決勝打が、右翼線を抜けた。6対6で迎えた延長12回表、一死二塁。生還した西川は本塁で、力強くガッツポーズ。投打に集中力を発揮した倉敷工が、10年ぶり8度めの、夏の甲子園切符を、手中にした。
試合終了後、ベンチから出て来た、監督の和泉利典は、3塁側倉工大応援団スタンドに歩み寄って、帽子を取り深々と頭を下げた。スタンドからは、「和泉」「イズミ」の大コール。
ベンチに戻った和泉は、OBコーチらに抱きかかえられ大号泣で泣き崩れたのだった。
多くの、関係者から、「倉工が、甲子園に出場する事より以上に」
『和泉のために、良かった。』『和泉にとって良かった。』
『和泉、おめでとう。』の、声が、多く寄せられたのだった。
炎の闘志で、一丸の勝利を飾った、平成8年県大会。球史に残る激闘の、岡山城東との決勝。序盤の失点にも倉工ベンチは、エースを完投させた。ナインは、エースを励まし続け、エースは終盤から、本領を発揮し、10年ぶりの甲子園を勝ち取る。
倉工野球の意気と誇りと苦闘の日々の団結は、しっかりと息づいていた。
つづく
随時掲載
お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。
参考
朝日新聞「バーチャル高校野球」
山陽新聞「灼熱の記憶」
(注)現在、「灼熱の記憶」は、ありません。
瀬戸内海放送「夢フィールド」
(注)現在、「夢フィールド」の放送は、ありません。
協力
和泉利典(元、倉敷工業高校野球部監督)
中山隆幸(元、倉敷工業高校野球部部長監督)
岡山県立倉敷工業高等学校硬式野球部OB会
岡山県立倉敷工業高等学校おいまつ会