捲土重来 平成8年の夏 12

第78回全国高校野球選手権大会 岡山大会準々決勝
 倉敷工 VS 玉島商闘志を燃やし、必死で白球を追う球児は、高校野球ファンの心を揺さぶる。 倉敷工 の勝利を決定づけたのは、思い切りの良さとエースのバット、そして下位打線の打棒だった。
玉島商  010 020 000  3
倉敷工  000 100 201  4
 9回表 玉島商 の攻撃。この回の先頭打者が左中間を破り、三塁打を打ち、無死三塁とする。ここで エース中原 は、次の打者を内野ゴロに仕留める。一死三塁となったところで 玉島商ベンチ はスクイズのサイン。
 しかし、バントは、セカンド方面への小フライとなる。
 セカンド西川 猛ダッシュしてすくい上げ、三塁へ転送。ダブルプレーを完成させる。この場面現在、倉敷工高野球部コーチの 西川剛正 は、次の様に語る。「 スクイズを予想していました。自分の所に来る様なイメージがありまして。身体が、うまく反応しました。負けたくない気持ちが強かったです。普段のイメージトレーニングが、役に立ちました。 」
 9回裏 倉敷工 の攻撃。二死となったところで、7回にタイムリーを打った8番ショート 渡辺 が打席に立つ。思い切った打球は、三塁手右を破りボールは、レフト線を転々となる。 渡辺 は、二塁へ。二塁ベース上でガッツポーズをする 渡辺。これで、二死ランナー二塁。ここで打席には毎日の早朝練習で、打撃練習に取り組んで来た 9番エース中原。
 中原 は、狙っていた。【 俺のバットで、サヨナラを決めてやる。 】と。
 中原 の打った打球は、三遊間のド真ん中を破った。いいスタートを切った渡辺。三塁ベースを蹴って、ホームに走った。『 走る 走る 走る 』そして、ホームに足からスライディング。そして、レフトからバックホームが帰って来た。
 【 セーフ 】サヨナラ、サヨナラ勝ちの 倉敷工。
 渡辺 両ひざをグランドにつき、両手の握りこぶしを高く差し上げ、背中を大きく後ろにそらして ガッツポーズ。そこへ、ナインが集まって来た。大熱狂の 倉工応援スタンド。試合後 監督 和泉利典 は、「 1点差でも、勝利を貰ったという事で。この勢いを持ってやって行きたい。 」と、コメントした。
 つづく  随時掲載
お願い  本文に迫力を持たせたく、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。
参 考  山陽新聞社 「 灼熱の記憶 」
協 力  和泉 利典氏 「 元 倉敷工業高校野球部監督 」
      中山 隆幸氏 「 前 倉敷工業高校野球部部長 監督 」
      西川 剛正氏 「 現 倉敷工業高校野球部 コーチ 」