青春ヒーロー プレイバック 12

小山 稔物語

野球への探求心が、旺盛な角野。その角野が、エース小山の投球について次の様に語る。
「小山の球は、回転が綺麗なんです。回転がいいからよく球が伸びるんです。しかも、打者の手元でホップするんですね。そして、落差のある縦へのカーブがあるんです。ですから、ホップするストレートの高さと、低めに決まるカーブ、高さと低さを武器にした投球が、持ち味なんです。」と熱く語る角野。
これに対して、エース小山は、「私の、手や指そして肘や肩が、硬式のボールに合っていたんでしょうかね。」と。
事実、エース小山の手の指は、短く太い。

第50回全国高校野球選手権大会
一回の守備につく倉工ナイン。エース小山が、甲子園のマウンドに上がる。
藤川が、捕手席に座る。残りの7人の侍は、小山のすぐ後ろで円陣を組む。
エース小山が、投球練習を開始しようとした時、掛け声と共に、各ポジションに走る7人の侍。

3回戦    倉敷工 9 - 2 高知  小山6勝め

主砲 武 のバットが火を噴いた。4回大会13号ホームランとなる、3ランを左中間スタンドに叩き込み、この回一挙8点を上げ、勝負を決める。

準々決勝  倉敷工 6 - 3 広陵  小山7勝め

この日、第4試合でナイターとなった。
広陵のエースは、( 小さな大投手 )の異名を持つ、左腕宇根洋介投手。
身長167㎝で、甲子園8勝している、宇根投手を、倉工打線は序盤で攻略した。
1回2回3回に、各1点。4回には2点を上げ、試合の主導権を握り、粘る広陵を振り切る。
甲子園に流れるアナウンス。
【勝ちました、倉敷工業高校の栄誉を称え、同校の校歌を斉唱し校旗の掲揚を行います。】
五万の観衆の歓声がとどろく、大甲子園のセンターポールに緑の校旗がはためく。
『水島灘の 沖ゆく白帆も・・・・』 大甲子園にこだまする勝利の賛歌。いつ聞いても、どこで聞いても、そして歌っても「 いいなあ 」と感じる。

そして、8月21日 準決勝 静岡商 との対戦の朝が来た。

つづく 随時掲載

お願い
本文に迫力を持たせたく、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参 考
瀬戸内海放送 番組「 夢 フィールド 」
山陽新聞社「 灼熱の記憶 」

協 力
角野 充氏
小山 稔氏