春風爽快 キセキの春 24

流れ変えた背番号11早藤達哉投手。
金光大阪210 120 003 001 10
倉敷工 100 301 013 002 11
敗色濃厚だった流れを変えたのは、「背番号11」だった。
九回、3点を奪われなおも二死一塁。制球に苦しむエース山崎を継ぎ、マウンドへ向かった。
「相手の勢いを絶てばチャンスはある。」
いきなり、安打を浴びたものの、追加点を与えず3点差で裏の攻撃へ繋げた。
流れは、自らのバットで引き寄せた。九回、無死一塁三塁。
甲子園での初打席。足の震えが止まらない。バットを、何度も振り「つなぐバッティング」と、書いた左手袋に目をやって、右打席に入った。
中山指揮官から、【決めて来い】と言われ1球目から思いっきり振った。
初球の内角ストレートを、叩きつけ、三遊間のど真ん中を抜き、レフト前ヒットで、1点を返した。この一打が、同点劇の、呼び水となり、試合は延長戦へ。息もつけない攻防が、始まった。
十回以後は、我慢の投球。十一回には、二死二塁三塁から、四球を出し、二死満塁のピンチを、次の打者を平凡なレフトフライでしのいだ。
十二回に、センター犠牲フライで、勝ち越されたが、1点差で、踏ん張った。
延長の3回で4安打2四球と走者を許したが、1失点。
劇的な幕切れをお膳立てしたのは、この『粘投』だった。
チームを救った右腕は、仲間の祝福の中ではにかんだ。
指揮官は言う。「早藤と、心中するつもりでした。」
三塁側倉工応援アルプススタンドを、盛り上げたのは、倉敷工吹奏楽部。
玉島商からの友情応援18人。倉工OB8人を加え、総勢40人に膨らんでいた。
テンポの良い、(サウスポー)等で盛り上げ、ほぼエンジ色一色のスタンドの中、赤と緑のメガホンが大きく揺れ、大歓声を響き渡らせチームを後押しし、激的なサヨナラ勝ちに、繋げたのだった。
次の、2回戦の相手は、中京大中京。実は前回34年前、昭和50年選抜の開幕試合で対戦し、倉敷工が16対15で勝利している。
次回、春風爽快25号でその時の試合を振り返ってみたい。(当、HP。カテゴリーの中、風雲の奇跡涙の甲子園を参照して下さい。)

9回裏倉敷工1死一、二塁7、山形が右翼線三塁打を放ち9-9の同点とする。


12回裏倉敷工2死一、三塁、日下の右前打で三走・三村が生還し11-10でサヨナラ勝ち



つづく
随時掲載

お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして、一部を引用しています)

協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」

岡山県秋季高等学校野球大会 三位決定戦

来春の選抜甲子園の、重要参考資料となる中国地区大会。
中国地区大会に行くのは岡山から3校。
その三位決定戦が行われ、学芸館に敗れ残念ながら5年ぶりの中国地区大会出場にはなりませんでした。

倉敷工 210 000 301 7
学芸館 102 006 001 9

学芸館、6回に長短のヒットで6点を上げる。この6点が倉工にとって痛かった。
倉工は、1回開始のサイレンの中1番岡田がレフト前。
2番岡田が送りバント。
3番松本は、サードフライ。
4番村中は、低めの球をうまくセンター前に打ち返し、まず1点。
5番坂元は、レフト前ヒットで二死1塁2塁。
6番難波は、ライト前に弾き返し、2点目を上げる。
7回表、無死満塁のチャンスを迎える。ここで、3番松本、レフト前ヒットで1点。
4番村中、セカンドライナーで1塁へ転送され、二死となる。
5番坂元、センター前ヒットで2点。
合計6点を上げる。
先発した水田は、直曲球のコンビネーションが持ち味だが、制球に苦しんだようだ。
2番手多々野は、点差もあり開き直りが好投を生んだ。
倉工には、好素材の選手が多く来年の春の県大会、夏の県予選が楽しみである。
将来性豊かな投手多々野。強肩捕手の松本は打撃もいい。打撃の良い村中。内野手岡田。外野手で、1年福島は投手もできそう。
来年、夏。ぜひとも、甲子園に行ってもらいたいものだ。
がんばれ倉工 来年の夏は行くぞ倉工野球部


試合前の挨拶。さあ、やるぞ。


腕を振るんだ。頑張れ、水田投手。


よく頑張った。来年の夏は頼むぞ。

令和2年度岡山県高等学校野球大会 準決勝

5年ぶりの、中国地区大会を目指しての 準決勝。
古豪対決となった対関西戦でしたが、5対9で敗れ、明日の三位決定戦に臨む事になりました。

倉敷工  020 000 030 5
関 西  011 003 13×  9

倉工投手陣の不調が響いた。
打撃は5点を取ったので、まずまずといったところか。
2回の2点は、一死後、6番難波が四球。
7番多々野が送りバント。
8番水田レフト前ヒットで、1点。二死1塁2塁。
1番岡田センター前ヒットで1点。合計2点。
8回表。一死2塁からピンチヒッター坂元のセンター前で、3点目。
1番岡田四球で、二死1塁2塁。
2番宗岡レフトオーバーの2塁打で、この回3点目で合計5点を上げる。
関西、7回の1点が、倉工にとって大きい。
明日の、三位決定戦は、投手陣の整備が急務だろう。


挨拶が終わり、さあ行こう。


がんばれ 水田投手。


残念。明日は勝つぞ。

春風爽快 キセキの春 23

「緊張感を、力に替えろ」
中山監督のゲキが、飛んだ。
第81回選抜高校野球大会。開幕試合。

金光大阪 210 120 003 001 10
倉敷工  100 301 013 002 11

倉敷工オーダー
捕  頼
中  井上
遊  三村
二  三木
一  日下
三  内山
投  山崎
投  早藤
右  山形
H右 内田
左  岡田
代走 池田
左  山本

4回裏。3点差を追う倉工は、3番三村が2死二三塁から左越えに3ランを放ち、4対4の同点に追いつく。積極果敢な攻めと粘り強い守りで、先行する金光大阪に食らいつく倉工。「諦めるな。」「どんな事があっても諦めるな。」中山監督の檄が聞こえて来る様な熱戦が続く。
6対6で迎えた9回表。金光大阪は、3本のヒットと、悪送球を絡め決定的ともいえる3点を奪い、倉工を突き放す。
試合巧者の金光大阪にしてみれば3点は大きい。
だが、倉工は諦めない。
9回裏の倉工。四球出塁の日下が、果敢な盗塁を決めると、内山、早藤、山形の下位打線が3連続タイムリー。土壇場で、3点を奪い9対9の同点。
まだ、1死でランナー山形が三塁に残る。
打者山本の場面。倉工ベンチは、スクイズで勝負に出るもホームのクロスプレーで主審の「微妙なアウト判定」があり延長へ。
延長12回、再び試合が動く。
この回、1点を奪われた倉工は、相手エラーと、2番井上の絶妙のプッシュバント。
3番三村のセンター前ヒットで1死満塁。
ここで、ヒットのなかった4番三木が、気持ちで一二塁間を破ったタイムリーで同点。
5番日下は、外角高めのストレートを完璧に捕らえライトへヒットを放ち劇的な、サヨナラ勝ちを収めた。
力を出し切って戦った両校。
歓喜に湧く、倉工応援アルプススタンド。地鳴りのような歓声が響き渡った。
歓喜のあまり涙を流す女子生徒。これは、34年ぶりの執念か。
そして、選抜34年ぶりに、肩を組んで校歌を歌ったのだった。


けがから復帰し、懸命のプレーを見せる岡田選手


延長12回裏倉敷工2死一、三塁、日下が右前へサヨナラ打を放つ


劇的なサヨナラ勝ちをおさめ。春34年ぶりの校歌を大合唱する倉敷工応援席


開幕試合を逆転サヨナラで制し、大喜びで応援席に向かう倉敷工ナイン

 

つづく
随時掲載

お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして一部を引用しています。)

協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」

 

令和2年度秋季岡山県高等学校野球大会 準々決勝

準々決勝の相手は、複数のプロ球団が注目する、今大会屈指の好投手を擁する玉野商工。倉工は、簡単には打てないことが予想されていました。
しかし、少ないチャンスをものにした倉工が、2対0で勝ち準決勝に進出。
あと一勝で中国地区大会出場となりました。

倉敷工  000 010 001 2
玉野商工 000 000 000 0

投手戦が予想されていた。先取点を、取った方が勝ちという様な試合。相手投手の立ち上がりを攻めたい倉工。
5回、9番城内が、四球で出塁。そして、盗塁を決める。
1番岡田が、レフト前ポテンヒットで先取点。
9回は6番難波レフト前ヒット。7番多々野のセンター前ヒットで、2点目。先発水田は、立ち上がりこそ変化球の制球力に苦しんだが、徐々に調子を上げバックのダブルプレイにも助けられての完封勝利。相手投手から、先取点を取れたことが大きい。


応援 お願いします。


攻守交代。さあ行こう、さあ行こう。


守備に付く、倉工ナイン。

 

令和2年度秋季岡山県高等学校野球大会開幕

倉敷工は、9月26日、初戦、岡山城東と対戦し、4対0の完封勝ちをし、幸先の良いスタートとなりました。

城 東 000 000 000  0
倉敷工 003 010 000  4

3回裏、倉工は二死満塁で5番松本が中越え3塁打で3点を上げる。
また、5回にも1点を取り、城東を引き離す。
主戦投手 水田は、制球が安定。
城東打線を、ヒット2本に押さえた。四球も出していないのも良い。新チームは、大きな特徴がないものの、投攻守のバランスが良い。守備もノーエラーで水田を盛り上げた。
がんばれ 倉工  目指せ 選抜


がんばれ!倉工


倉工野球部父母会です。


応援団、吹奏楽のいない、高校野球は寂しいです。

○組み合わせ表 【PDFはこちらからどうぞ】
大会の詳細は、高野連のHPをご覧ください。

春風爽快 キセキの春 22

真っ青な大空。紺碧の空に向かって、開会式を告げるファンファーレが鳴り響いた。
第81回選抜高校野球大会。
阪神甲子園球場。
先導は、大阪府警察音楽隊、フレッシュウイングス。小旗を振って入場。続いて、近畿6府県警察音楽隊が、今大会の入場行進曲『キセキ』を、演奏して入場。
この『キセキ』は、2008年、高校野球を題材とした、TBS系テレビ『ROOKIES』の主題歌である。多くの若者が共感して、人々に希望を与えられる歌として、選ばれたのだった。
前年、優勝の沖縄尚学。準優勝の、聖望学園に、続いて出場32校が、南から順に入場。倉敷工は、9番目に入場。
「倉敷工業高校。岡山。34年ぶり10回目。」と、場内放送。
すると、3塁側倉工大応援団から、大きな拍手が送られた。そして「がんばれよ」「たのむぞ」の、声があちらこちらから上がった。
一方、NHKテレビでは、「県大会4位ながら、中国大会で優勝。センバツ出場を、果たしました。開幕試合に登場します。実は、前回34年前の開幕試合で勝っています。」そして、女性アナウンサーが「3塁側は、もう一杯になっています。」と紹介。
プラカードは、出場校の生徒が持っている。倉敷工のプラカード【倉敷工】は、倉工野球部西野雄貴。中山監督が「プラカードは、おまえら選手同士で話し合って決めろ。」と、指示して西野に決まったという。西野は、大会本部から支給された純白の野球帽に、倉工学生服姿。帽子には(81)のマークが見える。
西野のプラカードは、一寸のブレもなく倉工ナインを誘導し、堂々の入場行進で大役を果たす。
全チームが揃ったところで、大会会長らが挨拶。そして、今治西の高市主将が、選手宣誓。西宮市高等学校吹奏楽連盟が『大会歌今ありて』を演奏して、神戸山手女子高校が『今ありて』を合唱。
「ああ甲子園草の芽萌え立ち駆け巡る風は青春の息吹か」選手、大観衆は、どんな思いで見守ったのだろうか。
倉工は、センバツ出場を記念して、エンジ色のジャンパーを作成。
左胸に【倉工】背中には【燃えろ倉工】。そして【倉敷工業高等学校】。
ほぼ、エンジ色一色で埋まった倉工応援スタンド。
さらに、緑色赤色のメガホンが映える。
【燃やせ闘魂倉工球児】【必勝岡山県立倉敷工業高等学校】の横断幕が、倉工ナインの背中を押す。 

つづく
随時掲載 

お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。 

参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして、一部を引用しています。) 

協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」 

春風爽快 キセキの春 21

「甲子園は懐かしく野球の自分のふるさと。そして甲子園という言葉には、常に新しさを感じる。」
この言葉は選抜優勝投手 早稲田実業 王貞治氏の言葉である。どんな時でも、勇気と希望をくれるところ。それが甲子園。

(2009年)3月21日。真っ青の、甲子園は開会式を迎えていた。
宮野部長、中山監督、そして神土コーチは、三塁側ベンチに早くから入っていた。
平成の大改修を行い、生まれ変わった阪神甲子園球場。
どこが、変わったのか。
1、銀傘が40メートルずつ広げられ、高さは5メートル高くなった。
2、250メートルのライナービジョンという電光掲示板が取り付けられた。
3、アルプス席は、全体で4メートル前に出た。
4、照明スタンドを球場の外に設置して、9メートル高くなり、明るさも増した。
こうした甲子園球場を、4万3,000人の大観衆が見守っていた。
一部、新聞報道では、約50,000人という報道さえある。

「ベンチから倉工応援スタンドを見たんですが、とにかくものすごい人で空席は全くなくて、一番高い所では、立って見ている人もいて。」と中山監督。
一方、試合前のシートノックをする神土コーチは「よう、ここまで来れたなあっていう感激が一番ですね。それにベンチから開会式が見られるんですから。」
三塁側、倉工応援アルプススタンドには、【必勝岡山県立倉敷工業高等学校硬式野球部。】さらには、【燃やせ闘魂 倉工球児】の横断幕が見える。
こうして迎えた開会式だった。ところが、直前三塁側ベンチ前に大勢の女子高校生が入場して来た。西宮市高等学校吹奏楽連盟と神戸山手女子高校である。
「せっかく、ベンチから見えると思っていたのに。女子生徒で、全く見えないようになってしまいましてね。そりゃ、スタンドから見る方がよっぽどいいですよ。」と神土コーチ。
真っ青な大空。紺碧の空。午前9時大観衆が見守る甲子園球場にファンファーレが鳴り響いた。

つづく
随時掲載

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本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。

参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして一部を引用しています。)

協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」

春風爽快 キセキの春 20

第81回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が、毎日新聞大阪本社で、開かれた。34年ぶり10回目の出場となる倉敷工は、開会式直後の開幕試合で、金光大阪と対戦する事が決まった。

抽選会には、宮野義治部長、中山隆幸監督、主将の頼宏樹が、出席。3人は、午前8時すぎに、会場入りした。

頼が、緊張した表情で、26番目に抽選に臨むと、引いた番号札は、大会初日第一試合を示す「2」だった。

くしくも、前回出場した34年前に続いての開幕試合。この時は中京(現中京大中京)に、16対15という激戦の末、勝っている。【当、HP。カテゴリーの中風雲の奇跡涙の甲子園を参照して下さい】

「運命を、感じる。」と、中山監督は感慨深げ。「開会式直後だけに、いかに、早く気持ちを、切り替えられるかが、鍵になる。」と、話した。一方、倉敷に、残った、他のナインは、和泉利典総監督の、指揮のもと、雨天のため、校内で練習していた。

筋トレやランニングの、最中宮野部長から和泉総監督へ組み合わせの、知らせが入った。そして、和泉総監督が、全員を集め、組み合わせを、知らせたのだった。

昨秋の、中国地区大会や、明治神宮野球大会でも、開幕試合を、経験しており、日程を聞いてもナインは平然。照準が決まった事で、士気は、一層高まった様子。

7年ぶり2回目出場の金光大阪。金光大阪は、近畿地区大会準決勝で、優勝した天理に惜敗したが、初戦で智弁和歌山、準々決勝で大阪桐蔭をともに接戦で下しセンバツ出場を決めた強豪チーム。

和泉総監督は、「改装された、甲子園での第一試合。しかも、超満員の中での試合は、楽しみ。」と。

平成の大改修を終えた『新生甲子園』に、こけら落としとなる倉敷工(三塁側)対金光大阪(一塁側)まるで「野球の神様」に引き付けられる様に名門クラスの復活が目を引く。倉敷工『新生甲子園』に築くか新たな伝統。

つづく
随時掲載

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参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして、一部を引用しています)

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小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」