第81回選抜高校野球大会 大会初日第一試合
金光大阪 210 120 003 001 10
倉敷工 100 301 013 002 11
平成21年(2009)3月21日
第81回選抜に出場した倉敷工。
試合は、リニューアルされた甲子園の開会式直後で、異様な興奮が、生き物の様に球場全体を覆う中で始まった。
両チームは、お互いに、1回から激しく点を取り合うサバイバルな試合を展開。
積極果敢な攻めと粘り強い守りで、先行する金光大阪に、倉工が、喰らいつく。
「諦めるな。どんな事があっても、諦めるな。」ベンチの倉敷工中山隆幸監督のゲキが、聞こえて来るような熱戦。結局、延長12回劇的なサヨナラ勝ちを、決めたのだった。その、試合直後の事。
倉敷工業高校の事務室に、1本の電話が入った。電話の主は卒業生でもなく、倉工関係者でもなく、全く面識のない人からだった。
その人は、ガン患者だった。
選抜での倉工の決して諦めない逆転劇を見て感動。
「病気と戦う勇気を、貰った。」という。
「どうか、中山監督をはじめ、選手の皆さんや、関係者の皆様に、どうぞよろしくお伝え下さい。」と、ていねいな、言葉を残して、電話を切ったという。
一方、中山監督にも、別のガン患者から、同様な、お礼の言葉が寄せられたのだった。
「思い切り振り切れ。」春の選抜で、鮮やかなサヨナラを生んだ「あの一球」には、中山監督と、球児たちの熱い信頼の物語が、秘められていたのだ。
オフの長く、地味な打撃練習が、春の光の中で鮮やかに、花を咲かせたといえよう。
にわか仕込みの、甲子園戦法より、平素から培った、自己能力の、認識が重要なのだ。
倉工は、晴れの舞台センバツでその事を、鮮明に見せた。
新化を続けた倉工が、ドキドキする感動ドラマを、また伝えてくれた。
おわり
お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。
参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして、一部を引用しています)
協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」