監督 小沢 馨物語
第47回全国選抜高校野球大会。 倉敷工 VS 東海大相模。
東海大相模 1点リードのまま、9回倉工の攻撃。2死でランナーなし。
ここで、エースで4番の 兼光 が打席に入る。一球入魂。打球は、センターの頭上
を超えた。大歓声の中、 兼光 は、二塁ベースを回ったところで、ふらついた。
フラフラになりながらも、三塁へヘッドスライディング。「 セーフ 」。さらに、大きな
大歓声が、沸き起こった。小沢監督から貰った、エネルギー。死力のマウンド。
そして、全力を使い果たした、大三塁打。ここで、結果的に最後の打者が打席に
入った。カウント ノーストライク 3ボール 。小沢監督からのサインは、「 待て 」。
次、一球ストライクが入って、1ストライク3ボール。さらに、サインは 「 待て 」 。
次、ストライクが入って、2ストライク3ボール。そして、勝負球の6球め、東海大相模
エース 村中 が投じた瞬間、捕手が中腰になった。高めのボールかと思われたが
判定は、ストライク。がっくり、膝をつきグランドに崩れる最後の打者。そこへ 兼光
が、歩みよった。肩をポンポンと叩き、抱き起した。そして、何ごとかささやいた。
何と言ったのだろうか。「 それは、監督さんが、教えてくれた事です。 」と、兼光・
次の瞬間、小沢監督はこみ上げるものを、こらえきれなかったという・
小沢監督、甲子園での初めての 涙 。高熱でフラフラになりながらも、歯を喰い
しばり、投げ抜いた 兼光 の姿に、小沢監督は 感涙 。そして、『 よくやった
男の中の男 』賛辞を、贈ったのだった。小沢監督、涙の甲子園。希代の名監督
が見せた 涙 。名将 小沢監督 最後の甲子園。選手たちは、最高の試合を
師 にささげた。倉工ナインの中、ただ一人 兼光 だけが、号泣した。
号泣する、 小倉北 福島投手 の姿に戸惑った無欲の初出場から、四半世紀
が、過ぎていた。
つづく ただし、涙の甲子園は、最終回。
お願い 本文に迫力を持たせたく、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい
参 考 瀬戸内海放送 「 夢 フィールド 」
OHK 「 旋風よ ふたたび 」
山陽新聞社 「 灼熱の記憶 」
協 力 小山 稔氏
大倉 一秀氏
神土 秀樹氏