準決勝 倉敷工VS関西
関西は、チーム打率4割を超え、一試合平均9点を奪う強打のチーム。この関西打線の前に倉敷工エース陶山大介が仁王立ちした。完全に関西打線を抑え込んだ。
腰に不安のある陶山は、試合開始30分前に腰痛を和らげる飲み薬2錠を飲み、患部に高価な湿布薬を貼り、さらに、座薬を入れてマウンドに上がった。
和泉利典監督は、「物事に動じず、淡々と自分のペースを守る。イメージトレーニングは、必要ないぐらいプラス思考。」と抜群のマウンド度胸を褒めた。
第85回全国高校野球選手権岡山大会
準決勝
倉敷工 100 010 100 3
関 西 000 000 000 0
倉敷工エース陶山が、関西の強力打線を完封した。
制球がさえ、球速140を超えるストレートと、右打者の外角へのスライダーを生かして、9三振を奪い、被安打2に押さえた。
一回、西野の中前打のあと、牽制悪送球や3四死球を得て押し出しで先制。
五回は、3安打で1点。
七回は、先頭打者の陶山が、右翼線2塁打。
一番打者、当たっている西野に倉工ベンチは、送りバントを命じる。
一死3塁。二番大森へ出したサインは、セーフティースクイズ。大森が、一塁線に見事なスクイズを決め、追加点を奪った。試合巧者らしさを見せる倉敷工。
陶山は、「何も考えてなくて、思いっきり投げたのが良かった。外のスライダーが良かったです。」と話した。
この試合を審判長がバックネット裏で見ていた。試合終了後、中山隆幸部長は、本部室に挨拶と明日の決勝の確認に行った。
そこへ、審判長が本部室に戻って来た。
開口一番。「わしは、びっくりした。こんな圧巻なピッチングは初めてじゃ。」
こうして倉敷工は、決勝戦に進出したのだった。
狙うは、7年ぶり9度目の甲子園。二人のコンビは、ぐっと握り拳に力を入れた。
つづく
随時掲載
お願い
本文に迫力を持たせるため、敬称は略させて頂きます事をご了承下さい。
参考
山陽新聞
毎日新聞
(当時の、新聞記事を参考にして、一部を引用しています)
協力
小山 稔氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
神土秀樹氏「元倉敷工業高校野球部コーチ」
和泉利典氏「元倉敷工業高校野球部監督」
中山隆幸氏「前倉敷工業高校野球部部長監督」